バッチ連携 vs リアルタイム連携|ビジネスに最適なデータ処理手法の選び方

本記事では、バッチ連携とリアルタイム連携の違いや、それぞれのメリット・デメリット、具体的な活用事例までをわかりやすく解説し、どちらの手法が自社のビジネスに最適か判断できるようサポートします。
バッチ連携の基礎知識から最新の技術動向まで、実務に直結する情報を網羅的に解説します。

はじめに:バッチ連携の重要性と目的

バッチ連携は、業務システム間やSaaS間で大量のデータを効率的に授受するための主要な手法です。

特に、日次や週次など定期的なデータ更新が必要な業務において、バッチ連携は不可欠なインフラとなっています。リアルタイム連携と比較して、コスト効率や運用安定性の観点から多くの企業で採用されており、堅牢なデータ処理基盤を構築する上で重要な役割を果たします。

本記事では、バッチ連携の基本原理から応用までを詳しく解説します。

2. バッチ連携とは? 定義と基本メカニズム

バッチ連携の定義

バッチ連携とは、一定期間ごとにデータを蓄積し、一括で処理・連携する方式を指します。

例えば、1日に1回、夜間に売上データを集計して他システムへ送信するなど、あらかじめ定義されたタイミングで大量データを効率的に処理するのが特徴です。
この仕組みにより、システム負荷を平準化し、安定した運用が可能となります。実装形態としては、ファイル転送(FTP等)やクラウドストレージの利用などが一般的です。

ポイント

  • 一定期間ごとにデータをまとめて処理する
  • 大量データの一括連携に最適化されている
  • システム負荷を分散・平準化できる

リアルタイム連携との違い:比較と使い分け

バッチ連携とリアルタイム連携の最大の違いは、データ処理のタイミングにあります。

バッチ連携はスケジュールに基づき「まとめて」処理を行うのに対し、リアルタイム連携はデータが発生した瞬間に「即座に」処理・連携を行います。
即時性が求められるトランザクション処理にはリアルタイム連携が適していますが、大量データの集計やシステム間同期には、コストと効率の面でバッチ連携に優位性があります。

バッチ連携 vs リアルタイム連携

項目バッチ連携リアルタイム連携
処理タイミング定期的(日次、月次など)即時(イベント発生時)
得意分野大量データの一括処理即時性が求められる処理
コスト比較的低い(リソース最適化が容易)高い(常時稼働・ハイスペックが必要)
主な用途集計、分析、バックアップ決済、在庫照会、通知

ビジネスにおけるデータ処理の役割と必要性

現代のビジネスにおいて、膨大なデータを効率的に管理・活用することは競争力の源泉です。

バッチ連携は、売上集計、在庫管理、顧客マスタの同期など、基幹業務プロセスを自動化し、マニュアル作業によるミス削減や業務効率化に大きく貢献します。

また、システム間のデータ整合性(Data Integrity)を担保するためにも、定期的なバッチ処理による突き合わせは不可欠です。ビジネスの拡張性に合わせ、最適なデータ処理手法を選択することが求められます。

ポイント

  • 業務プロセスの自動化と標準化
  • システム間におけるデータ整合性の維持
  • マニュアル作業排除による人的ミスの削減

バッチ処理の特徴と利点

バッチ処理は、特定の時間帯に大量データを一括処理するため、システムリソースの有効活用やコスト最適化に優れています。ここでは主な3つのメリットを深掘りします。

コスト効率:リソースの最適化

バッチ処理は、大量のデータを一度にまとめて処理するため、スループット(処理能力)を最大化しやすい特徴があります。

リアルタイム処理では常にピーク時に備えたリソース確保が必要ですが、バッチ処理なら夜間やアイドルタイムを活用することで、サーバー負荷を分散できます。
これにより、インフラコストや運用コストを抑えつつ、経済合理性の高いデータ処理が可能となります。

作業の自動化:業務品質の向上

定期的なデータ更新や集計作業をプログラムで自動化するため、人手による介入を最小限に抑えられます。

例えば、毎日深夜に全店舗の売上を集計し、翌朝までにレポートを自動生成するといった運用が可能です。スケジューラー(ジョブ管理ツール)を活用して複雑な依存関係を持つ処理を順次実行することで、業務の標準化と品質向上が実現します。

時間管理:夜間処理による負荷分散

バッチ処理を夜間や業務時間外に実行することで、日中のオンライン業務(ユーザーからのアクセス)への影響を回避できます。特に24時間稼働が求められるサービスであっても、アクセスが少ない時間帯を狙って重い処理を行う「夜間バッチ」は有効な手段です。翌朝の業務開始時には最新の集計結果が利用可能となるため、ビジネスのスピードアップにも寄与します。

データ連携方式の選択

システム間のデータ連携を設計する際には、2つの重要な軸から連携方式を選択する必要があります。それは「更新の検知方法」と「連携するデータの範囲」です。

更新の検知方法

データの変更を検知して連携する方法には、大きく分けて2つのアプローチがあります。

リアルタイム連携(Webhook

変更があったタイミングで即座に通知される方式です。

連携対象システムがWebhook機能を提供している必要がありますが、変更を即座に検知できるため、最も効率的な連携が可能です。例えば、CRMで顧客情報が更新された瞬間に、その情報を他のシステムへ通知できます。

バッチ処理

定期的にデータを取得して確認する方式です。

データの全件取得や差分取得のAPIがあれば実現可能で、Webhook機能がないシステムでも連携できます。例えば、1時間ごとや1日1回など、あらかじめ定めたスケジュールでデータを取得し、変更の有無を確認します。

連携するデータの範囲

連携するデータの範囲についても、2つのアプローチがあります。

全項目連携

毎回すべてのデータを連携する方式です。

実装がシンプルで、前回の連携状態を保持する必要がありません。データ量が少ない場合や、確実にすべてのデータを同期したい場合に適しています。

差分連携

変更があったデータのみを連携する方式です。

データ量が多い場合にネットワーク帯域やAPI呼び出し回数を削減できますが、前回連携時との差分を検知する仕組みが必要になるため、実装は複雑になります。

連携方式の組み合わせ

上記の2つの軸を組み合わせることで、4つの連携方式が生まれます。

Webhook + 差分連携(最も効率的)

変更があったタイミングで即座に通知を受け取り、変更されたデータのみを連携する方式です。最も効率的ですが、連携対象システムにWebhook機能が必要です。実際には、Webhook機能を提供していないシステムも多いため、常に選択できるわけではありません。

Webhook + 全項目連携(レアケース)

Webhookで変更通知を受け取りつつ、全データを連携する方式です。実務ではあまり採用されない特殊なケースとなります。

バッチ処理 + 差分連携(複雑だが効率的)

定期的にデータを取得し、変更があったデータのみを連携する方式です。Webhook機能がなく、かつデータ量が多い場合に選択されますが、実装は複雑になります。詳細は後述の「双方向連携における課題」で説明します。

バッチ処理 + 全項目連携(シンプルで確実)

定期的にすべてのデータを取得・連携する方式です。実装がシンプルで確実ですが、データ量が多いと非効率になります。小規模なデータセットや、確実性を重視する場合に適しています。

選択の目安

実際に連携方式を選択する際の判断基準は以下の通りです。

連携先にWebhookがある場合

まずWebhook + 差分連携を検討します。最も効率的で、リアルタイム性も確保できます。

Webhookがない場合

バッチ処理を選択することになります。この場合、データ量とコストのバランスで判断します。

  • データ量が少ない場合:全項目連携でシンプルに実装
  • データ量が多い、またはコスト重視の場合:差分連携(ただし実装は複雑)

実際のシステム選定では、APIの仕様、データの更新頻度、求められるリアルタイム性、開発・運用コストを総合的に判断することが重要です。

双方向連携における課題

システム間の連携には、片方向連携と双方向連携があります。片方向連携はシステムAからシステムBへの一方通行のデータ流れですが、双方向連携では両方のシステムでデータの作成・更新・削除が発生するため、特有の課題が生じます。

双方向連携における課題:競合の発生

双方向連携で最も厄介な問題が「競合」です。
例えば、カレンダー連携で以下のような状況が発生したとします。

  • システムAで予定Xを「10:00-11:00」に変更
  • ほぼ同時にシステムBで予定Xを「削除」

この場合、どちらの変更を優先すべきでしょうか?システムAの変更を優先すれば予定は残り、システムBの変更を優先すれば予定は削除されます。このような競合をどう解決するかが、双方向連携の設計における重要なポイントです。

片方向連携との対比

実は、片方向連携であれば、このような問題は発生しません。
例えば人事システムの場合を考えてみましょう。

労務管理システム タレントマネジメントシステム

  • 社員基本情報(氏名、所属、入社日など)
  • 勤怠データ(出勤日数、残業時間など)

タレントマネジメントシステム 労務管理システム

  • 評価結果(S/A/B/Cなど)
  • 評価に基づく昇給額

このように、各システムが必要とする情報が明確に分かれている場合、項目ごとの片方向連携の組み合わせで実現できます。競合は原理的に発生しません。

一方、カレンダー連携の場合は異なります。

カレンダー連携の特徴

  • どちらのカレンダーでも予定を作成・編集・削除する可能性がある
  • タイトル、時間、場所、参加者など、すべての属性が同じ意味を持つ
  • 双方向連携が必要な場合には全項目の同期が必要

このように、双方向で同じ属性を更新できるシステムでは、競合への対応が不可欠になります。

連携方式別の対応難易度

競合への対応難易度は、選択する連携方式によって大きく異なります。

Webhook + 差分連携の場合

メリット

変更が発生した瞬間に通知されるため、競合の検知が容易です。また、Webhookのペイロード(通知内容)には「どのレコードがどのように変わったか」という情報が含まれるため、変更対象が明確です。

例えば、システムAから「予定Xが10:00-11:00に変更された」というWebhookを受け取った直後に、システムBから「予定Xが削除された」というWebhookを受け取れば、競合が発生したことが即座に分かります。

考慮点

Webhook通知が失敗した場合の対応が必要です。ネットワーク障害や連携先システムのメンテナンス中など、Webhookが届かない状況に備えて、再送機構やフォールバック処理(定期的な同期処理)を用意しておくことが推奨されます。

バッチ処理 + 差分連携の場合

バッチ処理と差分連携を組み合わせる場合、実装の複雑さが大幅に増加します。

課題1:顧客データの保存が必須

差分を検知するためには、前回連携時のデータを連携システム内に保管する必要があります。これにより以下の問題が生じます。

  • ストレージコストの増加
  • 個人情報を保存するリスク(セキュリティ対策が必要)
  • データの保存期間やバックアップ戦略の検討

例えば、1万件のカレンダー予定を連携する場合、前回時点の1万件分のデータをすべて保持し続ける必要があります。

課題2:差分検知の複雑さ

バッチ処理では、両システムから定期的にデータを取得し、以下の3つのデータセットを比較する必要があります。

  • 前回連携時のデータ
  • システムAの現在のデータ
  • システムBの現在のデータ

この3つを突き合わせて、「どちらのシステムで変更が発生したか」を判定します。しかし、両方で変更が発生していた場合の判定ロジックは非常に複雑です。

課題3:競合解決の困難さ

バッチ処理では変更のタイミング情報が不明なため、競合が発生した際の優先度判定が困難です。
例えば、以下の状況を考えます。

  • 前回連携時:予定Xは「14:00-15:00」
  • システムAの現在:予定Xは「10:00-11:00」
  • システムBの現在:予定Xは削除済み

この場合、どちらの変更が「後」に行われたかが分かりません。タイムスタンプ(更新日時)を参照する方法もありますが、システム間で時刻がずれている場合や、タイムスタンプ自体が提供されていない場合もあります。
実務的には、以下のような対応策が取られます。

  • 片方のシステムを常に優先する(マスターシステムの決定)
  • 最終更新日時が新しい方を優先する(タイムスタンプベース)
  • 競合が発生した場合は人間が手動で解決する(エラー通知)

いずれの方法も完璧ではなく、ビジネス要件に応じた判断が必要です。

バッチ処理 + 全項目連携の場合

課題4:差分が不明なため、どちらが変更されたか判断できない

全項目連携では、毎回すべてのデータを上書きするため、「変更があったかどうか」という情報自体が失われます。
この方式で双方向連携を実現するには、以下のいずれかの対応が必要です。

  • 片方のシステムを常にマスターとして扱い、一方向に上書きする(実質的に片方向連携)
  • 各レコードの最終更新日時を比較し、新しい方で上書きする

後者の方法を取る場合でも、ほぼ同時に両方で更新が発生した場合には、バッチ処理 + 差分連携と同様の競合問題が発生します。

導入手順とシステム要件

バッチ連携を効果的に実装するための、基本的なフローと現代的なアプローチを紹介します。

導入の第一歩:バッチ処理の基本フロー

バッチ処理の実装は、まず「処理対象データ」の特定と「実行タイミング」の定義から始まります。

一般的には、スクリプト(Python、Shell等)やバッチファイルを作成し、OS標準のタスクスケジューラ(Cron等)や、専用のジョブ管理ツール(JP1、Tivoli等)に登録して自動化します。

また、運用においてはログ管理が重要です。処理結果やエラー内容を記録することで、トラブル時の原因特定や再実行(リラン)が容易になります。

初回セットアップの重要性

差分連携を開始する前に、両システムのデータを一致させる「初回同期」が必要です。

初回同期の方式

初回同期には以下のような方法があります。

  1. 一括インポート機能(CSV等)
    • システムが提供するCSVインポート機能を使用
    • 大量データを効率的に投入できる
  2. 全項目連携モードでの初回実行
    • APIを使用して全データを一括登録
    • その後、差分連携モードに切り替え
  3. 手動でのデータ移行
    • 件数が少ない場合は手動で入力
    • データの正確性を目視確認できる

初回同期を行わない場合のリスク

初回同期を行わずに差分連携を開始すると、以下の問題が発生します。

  • 既存データが「新規作成」として扱われ、重複が発生する
  • システム間でレコードの対応関係が取れなくなる
  • 予定や顧客情報が二重登録され、業務に混乱をきたす

例えば、カレンダー連携で初回同期を行わない場合、システムAに既に存在する予定がシステムBに「新規予定」として作成され、同じ予定が2つ存在する状態になります。
初回同期は、差分連携を成功させるための最も重要なステップです。

API活用:現代的なデータ連携

近年では、ファイル転送だけでなくAPI(Application Programming Interface)を活用したバッチ連携も標準的になっています。

バッチプログラムからAPIを呼び出し、必要なデータを取得・送信することで、システム間を疎結合に保ちながら柔軟な連携が可能です。
API連携を行う際は、APIの仕様(レート制限など)や認証方式(OAuthなど)を確認し、セキュリティ対策を講じることが重要です。

柔軟なトリガー設定ができるツールの活用

効率的な連携基盤を構築するには、要件に応じて柔軟に処理を実行できるツール選びが重要です。
例えば、データ連携プラットフォーム「JOINT」には、定期的なバッチ処理を実行するためのスケジュールトリガーに加え、APIリクエストなどを検知して即座に処理を開始するWebhookトリガーなど、複数の起動方法が用意されています。

これにより、「夜間の大量データ処理はスケジュール実行」「即時性が必要な通知はWebhook」といったように、システム要件に合わせて最適な連携方式を自由に選択できます。開発工数を抑えつつ、バッチとリアルタイムを組み合わせた高度な連携フローを実現可能です。

バッチ連携の具体的な活用ケース

ここでは、業務システムやSaaS間の連携において、バッチ処理が実際にどのように活用されているかを具体的に紹介します。

人事・労務システム間の連携

人事・労務領域では、複数の専門システムを組み合わせて運用するケースが一般的です。

連携例:労務管理システム タレントマネジメントシステム

労務管理システム タレントマネジメントシステム

  • 社員基本情報(氏名、所属部署、入社日など)
  • 勤怠データ(出勤日数、残業時間、有給取得日数など)

タレントマネジメントシステム 労務管理システム

  • 評価結果(S/A/B/Cなどのグレード)
  • 評価に基づく昇給額や賞与計算の基礎データ

連携方式の特徴

このケースでは、各システムが必要とする情報が明確に分かれているため、項目ごとの片方向連携の組み合わせで実現できます。双方向で同じデータを更新することがないため、競合の心配がありません。

バッチ処理が適している理由

  • 人事データは日次~月次の更新頻度で十分
  • 給与計算などは月次の締め処理で実行されるため、リアルタイム性は不要
  • 大量の社員データを確実に連携する必要がある

夜間バッチで前日の勤怠データを集計し、翌朝には人事部門が最新データを確認できる状態が理想的です。

カレンダー・スケジュール管理の同期

カレンダー連携は、双方向連携の典型的な事例です。

連携例:Google Calendar Outlook Calendar

企業では、外部とのコミュニケーションにはOutlook、社内のプロジェクト管理にはGoogle Calendarを使用するなど、複数のカレンダーシステムを併用するケースがあります。

カレンダー連携の特徴

  • どちらのカレンダーでも予定を作成・編集・削除する可能性がある
  • タイトル、開始時刻、終了時刻、場所、参加者など、すべての属性が同じ意味を持つ
  • 双方向連携が必要な場合には全項目の同期が必要

連携の課題

カレンダー連携では、第5章で説明した競合の問題が発生しやすくなります。ほぼ同時に両方のカレンダーで同じ予定を編集した場合、どちらの変更を優先すべきかの判断が難しくなります。

推奨される連携方式

  • Webhook対応のカレンダーシステムであれば、Webhook + 差分連携
  • Webhookがない場合は、バッチ処理 + 差分連携(ただし競合解決ロジックの実装が必要)
  • マスターカレンダーを決めて片方向連携にすることも検討

実務的には、「会議室予約はOutlookをマスター」「個人予定はGoogle Calendarをマスター」のように、用途によってマスターシステムを分けるアプローチも有効です。

CRM・マーケティングツールの連携

営業活動とマーケティング活動を連携させるため、CRMとマーケティングオートメーションツール間でのデータ連携が必要になります。

連携例:Salesforce メール配信システム(Mailchimp、SendGridなど)

主な連携データ

  • 顧客の基本情報(氏名、メールアドレス、企業名など)
  • 顧客セグメント情報(興味関心、購買履歴、エンゲージメントレベルなど)
  • キャンペーン対象フラグ

連携の流れ

  1. Salesforceで顧客データを日々更新
  2. 夜間バッチで「メール配信対象」のセグメントを抽出
  3. メール配信システムへ顧客リストを一括登録
  4. 翌朝、マーケティング担当者がメール配信を実行

バッチ処理が適している理由

  • メール配信は通常、日次または週次で計画的に実行される
  • 数千~数万件の顧客データを一括で連携する必要がある
  • リアルタイム性よりも、データの正確性と完全性が重視される

この連携により、営業活動で得られた顧客情報を即座にマーケティング施策に活用でき、顧客体験の向上につながります。

経費精算・会計システムの連携

バックオフィス業務の効率化において、経費精算システムと会計システムの連携は重要です。

連携例:経費精算システム(Concur、楽楽精算など) 会計システム(freee、マネーフォワードなど)

主な連携データ

  • 承認済みの経費明細(日付、金額、勘定科目、部門コードなど)
  • 交通費、交際費、消耗品費などの費目別集計
  • 従業員別の経費合計

連携の流れ

  1. 従業員が経費精算システムで申請
  2. 承認フローを経て承認完了
  3. 月次締め処理後、バッチ処理で承認済み経費データを抽出
  4. 会計システムへ仕訳データとして一括登録
  5. 経理担当者が会計システムで最終確認・月次決算

バッチ処理が適している理由

  • 経費精算は月次締めが基本で、リアルタイム連携の必要性が低い
  • 月次で数百~数千件の経費データを確実に連携
  • CSV出力・インポートの手作業を自動化できる

従来の課題と改善

従来は、経費精算システムからCSVファイルをエクスポートし、手動で会計システムにインポートする作業が必要でした。API連携によるバッチ処理を導入することで、以下のメリットが得られます。

  • 月次締め作業の大幅な時間短縮(数時間 → 数分)
  • 手作業によるミスの削減
  • リアルタイムでの経費状況把握(月次を待たずに中間集計が可能)

バッチ処理における課題とデメリット

導入効果の高いバッチ処理ですが、特性上の課題も存在します。これらを理解し、対策を講じることが重要です。

タイムラグとデータ整合性

バッチ処理は「定期的」な処理であるため、次回の処理実行までデータが反映されないタイムラグが発生します。

リアルタイムな在庫状況が必要なECサイトなどでは、このタイムラグが「売り越し」などのトラブルにつながるリスクがあります。即時性がクリティカルなデータについては、リアルタイム連携を併用するか、バッチの実行頻度を高める(マイクロバッチ)などの対策が必要です。

処理遅延のリスク

データ量の急増やシステムトラブルにより、予定していた時間内にバッチ処理が終わらない「突き抜け」が発生することがあります。

始業時間になってもデータが更新されていない場合、業務に支障をきたす可能性があります。重要な処理には優先順位をつけ、遅延時にはクリティカルなパスを優先して実行するなどの運用設計が求められます。

おわりに:バッチ処理の未来と展望

クラウド技術やストリーミング処理(リアルタイム処理)の進化により、「バッチ処理は古い技術ではないか?」と議論されることもあります。しかし、大量データを低コストかつ確実に処理できるバッチ処理の優位性は揺らいでいません。

これからのシステム開発においては、すべてをリアルタイム化するのではなく、「即時性が必要な部分はリアルタイム」「大量処理が必要な部分はバッチ」というように、適材適所で使い分けるハイブリッドなアーキテクチャが主流となります。

自社のビジネス要件とデータの特性を見極め、最適な連携方式を選択することが、DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させる鍵となるでしょう。

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