iPaaS(Integration Platform as a Service)とは?Embedded iPaaS(組込み型iPaaS)とは?|SaaS連携の専門家が分かりやすく解説!
iPaaSとは、クラウド総合プラットフォームという意味で、異なるアプリケーションやシステムを繋げてデータを総合したり、システムを連携させたりするサービスです。
例えば、オンプレミス型のシステムとクラウド型のアプリケーションの間でデータの移行や同期をすることができます。
しかし、”iPaaSとはなにか教えて”と言われると、なかなか説明は難しいのではないでしょうか。
本コラムでは、iPaaSの概要・目的に加え、関連する〇aaS的用語やiPaaSによって得られるメリットまた、近年耳にすることの多いEmbedded iPaaS(組込み型iPaaS)についてわかりやすく説明します。
目次
iPaaSとは?
iPaaS(Integration Platform as a Service:アイパース)とは、直訳で「サービスとしての統合プラットフォーム」で、
オンプレミス、またはSaaSサービスの複数システムでばらばらで管理している情報を連携・管理できるサービス、または形態のことを指します。
もう少し詳しく説明していきます。
なぜiPaaSが必要なのか
そもそも、なぜiPaaSが必要なのでしょうか。
SaaSのコラムでも記載したように、SaaSは「必要な時に、必要な機能を、必要な分だけ」使うかを選ぶことができるため、昨今では業務毎に異なるSaaSを利用するケースが多くなっています。
(例)顧客管理システムはHubspot、ワークフローシステムはコラボフロー、会計システムは会計freee等
複数のSaaSを利用する場合、それぞれで記載した情報を連携できないと、手作業で転記したり、自社又は社外エンジニアに依頼して連携できるプログラムを開発する必要があり結果、作業コスト・発注コストが発生します。
近年ではAPI(Application Programming Interface)というSaaSの一部分の機能を共有して利用できる仕組がありますが、そもそも利用しているSaaSがAPI情報を用意/公開していないとAPI連携することはできません。
API連携を使って情報連携ができない場合はCSVデータを都度ダウンロードし、連携相手が受け取れるCSVデータの形式に変換し、インポートするか、それも出来なければ手作業・RPAまたは連携プログラム開発になってしまいます。
API連携とCSV連携の違いについてはこちらのコラムをご覧ください。
iPaaSはこれらの課題を解消する為に、主にAPIを活用して連携し、業務を自動化することができます。
iPaaSの種類
一口にiPaaSといっても、いくつかの型に分けられます。
明確に分かれているわけではなく、各iPaaSサービスによって呼称は異なりますのでご了承ください。
レシピ型
ユーザーが良く利用するであろう連携があらかじめレシピとしてセットされているタイプです。
システム連携の知識なく簡単に作成・運用することができます。
ETL/ELT型
Extract・Transform・Loadの頭文字からなる用語であり、
①Extract(情報源からのデータ抽出)
②Transform(データを必要に応じて変換)
③Load(変換したデータを対象システムにロード)
の手順でデータを処理するツールです。
企業が蓄積している大量のデータを加工し、BIなどの分析に適した形にした上でデータウェアハウス(DWH)に書き出します。
EAI型
Enterprise Application Integrationの略で、直訳で「企業アプリケーション統合」つまり企業内の異なるシステムを連携させる仕組みのことです。
リアルタイムで整合性を保つ必要があるデータの連携に適しています。
ESB型
Enterprise Serbice Busの略で、特化型iPaaSとも言われています。
iPaaS事業者は複数の分野にまたがって利用できるようサービスを提供していますが、中にはニッチなニーズに特化したiPaaSも存在しています。
例えば不動産業界・eコマースなど、特定の業界・企業に向けて提供されているiPaaSがその一例です。
現在は数も多くありませんが、今後はiPaaSもニーズに合わせて独自の進化を遂げていくことが想定されます。
IaaS、PaaS、SaaS、FaaS、DaaSとの違い
iPaaSを調べる際に見かけることが多い用語についても、整理してみましょう。
〇〇〇 as a Service という単語構成になっており、〇の部分にどういったサービスを担うかの英単語が入ります。
IaaS(Infrastructure as a Service)
※イアース、もしくはアイアース
システムを稼働させるために必要なネットワークからOSまでの機能を利用できるようにしたものです。
PaaS(Platform as a Service)
※パース、もしくはパーズ
IaaSに加えて、ミドルウェアやプログラミング言語、管理システムといったアプリケーション開発に必要なものを利用(提供)できるようにしたものです。
SaaS(Software as a Service)
※サース、もしくはサーズ
開発されたソフトウェアをインターネット経由で利用(提供)できるようにしたものです。
上記3つは提供するサービスの領域が異なります。
FaaS(Function as a Service)
※ファース
開発や業務に必要なサーバなどのインフラを、クラウドサービスに一任し、開発者がプログラミングに集中できるサービスを発展させたものです。
作成したプログラムに合わせて自動的にサーバを拡大、縮小(スケーリング)してくれることが挙げられます。
DaaS(Desktop as a Service)
※ダース
クラウド上で仮想デスクトップ環境を提供するサービスの一種です。
テレワークの普及により着目されるようになりました。
従来のVDI(Virtual Desktop Infrastructure)では仮想デスクトップの環境を自社サーバー内に保有していましたが、DaaSではクラウド上に保有しているため管理はDaaS事業者が行います。
iPaaSとEmbedded iPaaS
最近ではiPaaSとEmbedded iPaaS(組込み型iPaaS)との違いを聞かれる事が増えました。Embedded iPaaSも通常のiPaaSと同じでデータ連携に特化したプラットフォームですが、SaaS製品に組み込んで使えるという点が大きな違いです。
自由度が高いが故に連携ロジックを考えないといけないiPaaSと比べて組み込み型iPaaSはサービス提供者の提供するサービスの1機能として見えるため利用頻度、顧客満足度が上がります。
また、SaaS事業者からは開発コストの削減、メンテナンスコストの削減、きわめて簡単なAPI連携、アプリストア運営などが容易にでき、自社サービスの付加価値を高めることができます。結果的に解約率の低減だけでなく顧客満足度やサービス利用者を高めることにもなります。
▼Embedded iPaaSの詳細はこちらのコラムをご覧ください。
RPAとの違い、使い分け
自動化のワードでiPaaSと並びヒットするのがRPAです。
RPA(Robotic Process Automation)とは
業務自動化を行うツールのことを指します。
RPAはバックオフィス等の定型業務を自動化するのに長けており、繰り返し行われる単純作業が適しています。
あくまでルールに沿って処理をおこなうため非定型業務は不向きであり、例えばソフトウェアのUIに軽微なアップデートがおこなわれたとしても利用者側でメンテナンスが必要になります。
片やiPaaSはiPaaS事業者がメンテナンスをおこなうため、利用者側は差分を気にすることなく業務に注力することができます。
一概にRPA、iPaaSどちらかのみを使うというよりも、
ソフトウェアを横断する定型業務はRPAで、API(主にwebAPI)が提供されている場合はiPaaSでおこなうといった使い分けが必要になってきます。
RPAとは?の詳細はこちらのコラムをご覧ください。
APIとの関係性
iPaaSはWebAPIを活用してSaaS間の連携を実現します。
API連携のプラットフォームがiPaaSと言い換えることもできます。
よってAPIが存在しない、もしくはSaaS事業者がAPIを非公開にしている場合は、無論 iPaaSに用いることができません。
iPaaS導入のメリット
メリット
コスト削減
iPaaSを活用することが属人化を防ぐことにつながり、ひいては全体のTCOを抑える効果があります。
単純にSaaS・iPaaSのサービス利用料だけではなく、各SaaSの連携にかかるヒューマンリソースも考慮せねばなりません。
IT業界は慢性的に人材が不足しており、2030年には45万人ものIT人材が不足するという予想があります。
拡張性(スケーラビリティ)
SaaSを取り巻く環境は今後もめまぐるしく変化することが想定されます。
企業規模や形態が変わることも珍しくありません。
そういった変化に伴い、利用するSaaSも適宜変わっていくことでしょう。
もし連携を手動で行っていた場合、例えば合併吸収といった大きな環境の変化に対応するのが非常に難しいですが、
iPaaSであれば接続するSaaSを変更すれば良いため、拡張性の面からもメリットが大きいでしょう。
ノーコード
最近ではプログラミングが必要なSaaS間の連携や業務の自動化をノーコードで実装することが可能な製品も増えてきました。ただ、ノーコードと書いていても実際にはエンジニアを必要とする製品は多いのが現状だと思いますので、自社に合った製品を探す必要がありそうです。
iPaaSを選ぶときのポイント
iPaaSを選ぶ際のポイントは、ビジネスニーズや要件に基づいて検討する必要があります。
1.システムの柔軟性や拡張性
異なるデータソースや形式を統合できる柔軟性があるか、自社のビジネス成長に対して拡張性があるか
2.セキュリティとコンプライアンス
iPaaSプロバイダが提供するセキュリティ対策やコンプライアンスに関して自社の基準と合致しているか
3.ユーザビリティと管理機能
直感的なインターフェースや使いやすいツールが提供されているか。アプリの管理機能やツールが充実しているか
4.サポートやトレーニング
サポートオプションやトレーニングメニュー、FAQなど、エンジニアもしくは非エンジニアの目線で確認し、いざという時に対応してもらえるかなど。他にもテクニカルなサポート体制など意外と違いはあるようなので、確認が必要です
5.コスト構造と価格透明性
利用料金の構造や価格の透明性が妥当か。ビジネスの予算に合致するかなど、自社のエンジニアコストと照らし合わせて検討するとよさそうです。特にAPIの管理にかかるコストを見落とすケースが多いようです
これらのポイントを考慮することで自社のニーズに適したiPaaSを選んでみてください。
事例
現在ではさまざまなiPaaSが提供されており、各サービスによって特徴があります。
代表的なサービスをご紹介します。
Zapier(ザピアー)
世界シェアNo.1のiPaaSです。
一連のワークフロー流れがZap(ザップ)という単位で表現され、5000以上のアプリから自分好みの自動化ツールを組み立てることができます。
Anyflow(エニーフロー)
国産のiPaaSサービスです。
一般企業向けの製品と組み込み型のAnyflow Embedがあります。組み込み型はSaaSベンダー向けの製品で、自社プロダクトと他社SaaS間のAPI連携を最短一週間でエンドユーザーに届けることができます。
workato(ワーカート)
提供元は米国のスタートアップ企業ですが、日本法人が設立されているため言語の心配はありません。
何千というレシピがコミュニティにオープンソースとして公開されており、コピー&編集して再利用することができます。
SaaS連携開発やAPI開発支援でお困りの方へ
多くの企業で、1社あたり10程度のSaaSを利用しているといわれています。
それだけSaaSは多くの企業に必要とされていることがわかります。 しかし、複数のSaaSを利用することで情報の分断や多重入力といった問題が起こるリスクがあります。
業務の効率化を求めて導入したはずなのに、複数のSaaS利用によって新規導入や効果的な運用の足かせとなることがあるのです。
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SaaSベンダーの利便性はもちろんのこと、そのSaaSを利用するエンドユーザーこそが使いやすい製品を提供することで、SaaSベンダー・ユーザーともにコア業務に集中できる環境のお手伝いをしたいと考えています。
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