SaaS for SaaS(SaaSのためのSaaS)とは?SaaS開発効率化ツール、SaaS管理ツール、連携ツールについて具体例を交えて解説

"SaaS for SaaS"は、「SaaS(Software as a Service)のためのSaaS」を意味します。

おもにSaaS企業が他のSaaS企業向けに提供しているソフトウェアやサービスを指し、SaaSの普及が進んできた昨今、"SaaS for SaaS市場"と呼ばれるこの市場が注目され始めています。

そんなSaaS for SaaSについて、市場規模からどのようなサービスがあるのか具体例を交えて解説します。

SaaS for SaaS(SaaSのためのSaaS)とは

SaaS for SaaSとは

SaaS for SaaSとは、おもにSaaS企業が他のSaaS企業が利用するために提供しているプラットフォームやソフトウェアを指します。

たとえば、

  • SaaSを構築するためのプラットフォーム
  • SaaSを提供する企業ならではの業務を効率化するためのツール
  • SaaS同士を連携させるためのツール

などがこれにあたります。
これらのサービスは、SaaS企業が自社の業務を効率化し、成長を促進するためのツールとして利用されています。

SaaSforSaaS

また上記に加えて昨今では、一般企業が”SaaSを管理するため”のソフトウェアを導入するケースも増えており、そのような場合においても、SaaS for SaaSと言えると考えられます。

市場規模

SaaSの市場規模

SaaS市場は、2020年代から急速に成長し、さまざまな業界や企業に影響を与えています。

従来のオンプレミスソフトウェアからクラウドベースのソリューションに移行する傾向や、デジタルトランスフォーメーションの加速などによって大きく支えられていることがおもな要因ですが、特に、COVID-19パンデミックの影響で、多くの企業がリモートワークやデジタル化を促進し、クラウドベースのソリューションへの需要が高まりました。

2022年の時点でのSaaS市場の規模は数千億ドルに達し、今後も大きな成長が見込まれています。これは、さまざまな業界や地域でのクラウドベースのソリューションへの需要が増加し、新たなソフトウェア企業やサービスプロバイダーが次々と市場に参入しているためです。

SaaS for SaaSの市場規模

市場規模はさまざまな要因が影響しますが、現時点で、SaaS for SaaS市場は数百億ドル規模と推定されています。

これは、SaaS市場が今後もさらに拡大していくことや、SaaS企業が他のSaaS企業向けに付加価値の高いサービスを提供することで、市場の成長が促進されると考えられています。

さらにはSaaS企業向けのサービスに限らず、SaaSを利用する一般企業向けのSaaS管理サービスなどが増えていくことも、今後のSaaS for SaaS市場の成長に影響を与えることでしょう。

SaaS for SaaSの種類

SaaSの構築基盤となるツール

SaaSを構築するために必要なノウハウや、共通する基盤機能をひな型として提供することによって、SaaSの開発作業を効率化することが可能なサービスを指します。

SaaS開発や運用について十分な経験や知識がない場合でも、リスクを最低限に抑えながらSaaS開発を行うことを可能とし、今後新たにSaaS業界に参入したいと考えている企業にはうってつけのサービスと言えます。

製品例

SaaSus Platform

SaaSus公式

▽画像出典元:「SaaSus Platform」公式HP

SaaSus Platformは、SaaS構築に必要な機能とノウハウが詰まった「SaaSの開発から運用まで」の支援を可能とするツールです。特徴は次のとおりとなります。

  • テナント管理機能、ログイン画面作成機能、ロール管理機能、料金プラン機能、請求機能などが、画面からの設定とSDK組み込みにより利用可能なため、初期リリースまでの期間を短縮できる
  • セルフサインアップや請求機能などにより、ユーザ数が増大した際にも、負荷が高まることなく運用できる
  • 自社内で開発を続けなくても、SaaS提供事業者にとって必要な機能が継続的に利用できる

SaaSとして必要な基礎機能があらかじめプラットフォームに入っていることから、幅広いビジネスモデルのSaaS開発が可能となり、SaaS開発における心強い味方となってくれることでしょう。

SaaSのバックオフィス業務を管理するツール

盲点となりがちですが、SaaSを提供する企業にとって大きな障壁となりやすいのが、契約管理や請求管理業務です。

近年私たちの周りで「サブスク」という言葉が当たり前に使われるように、サブスクリプション型の販売形式は、従来と比較しても圧倒的に浸透し普及してきました。
一般的なBtoCのサブスクリプションサービスには通販の定期購入のようなものから、映画やドラマなどのコンテンツを楽しむためのストリーミングサービスなどがあげられますが、これらの契約や請求を管理するにあたり必要な情報は、会員情報や利用プラン、利用継続の有無(ステータス)といったものだけであり、複雑な管理は不要です。

一方で、BtoBを前提としたSaaSのサブスクリプション管理ははるかに複雑です。

複雑化する要因として、BtoBの場合は、取引先によって単価が異なったり、契約ボリュームなどに応じて個別の値引き対応や契約期間の調整が頻繁に行われたりすることが考えられます。
そのため契約が続く限り、個社別の単価・契約期間・請求サイクルなどを管理し続ける必要があり、それらを正確に手間なく管理するためには、専用システムが不可欠です。

製品例

■Zuora

Zuola公式

▽画像出典元:「Zuora」公式HP

Zuoraは、サブスクリプションビジネスを基軸としている企業や、従量課金制を採用している企業、またそれらを組み合わせたハイブリット型のビジネスを行っている企業のバックオフィス管理を一元管理できるツールです。特徴は次のとおりとなります。

  • 価格設定からパッケージング、請求、支払い、収益計上に至るまで、あらゆるニーズに対応する柔軟なソリューションを提供している
  • ローコードのSDKやAPIを提供しており、既存のアプリケーションやエコシステムと素早く連携させることもできる

複雑化するサブスクリプション型のビジネスモデルにいち早く対応したツールとして、世界中の企業が注目し、幅広い業界で利用されているシステムです。

■Scalebase

Scalebase公式

▽画像出典元:「Scalebase」公式HP

Scalebaseは、SaaSモデルやストックビジネス、従量課金などの複雑な販売モデルに対応し、契約・請求管理を効率化することのできる国産サービスです。特徴は次のとおりとなります。

  • 顧客の契約管理、請求管理、分析とシステム連携を領域とし、継続課金ビジネスにおいて受注以降の業務を一元的に管理できる
  • 主要な指標をダッシュボードで確認することで、データ集計にかかる負担も大幅に削減できる

Scalebase APIを活用すると、kintoneやSalesforceなどのSFA/CRM、freeeやMoney Fowardなどの請求書発行/会計ソフトといった国内企業でよく利用されているサービスとの自動連携も可能となります。これらは国産サービスならではのメリットと言えます。

SaaS同士を連携させるためのツール

昨今では業務毎に異なるSaaSを複数利用するケースが増えてきています。そのため、1つのSaaS製品を単体で利用するよりも、SaaS同士を連携させることによって、より高い導入効果を発揮することができるようになるのです。

そこで注目されるのが、SaaS同士を連携するためのツールである「iPaaS」です。
iPaaSに関しては過去の記事で詳しく説明しています。

製品例

■datable

datable公式

▽画像出典元:「datable」公式HP

datableは、AI搭載のエンタープライズiPaaSとして、高度なデータ連携や業務の自動化/効率化を実現し、自社プロダクトの機能として活用できるサービスです。特徴は次のとおりとなります。

  • ノーコードで連携設定が可能なため、最短1週間でリリースができる
  • 直感的かつシンプルなUIで、非エンジニアでも運用ができる
  • SaaSの構築/API連携の経験が豊富なエンジニアによるフォローと運用サポートを受けることができる

Salesforceやkintoneといった多くのツールと連携が可能なため、個別のAPI連携開発と比較すると、スピーディかつ低コストでのSaaS間連携が行えるようになります。

■Zapier

Zapier公式

▽画像出典元:「Zapier」公式HP

Zapierは、世界シェアNo.1のiPaaSです。一連のワークフロー流れがZap(ザップ)という単位で表現され、自分好みの自動化ツールを組み立てることができます。特徴は次のとおりとなります

  • 現時点で6,000以上の幅広いアプリに対応している ※2024年5月現在
  • テンプレートを活用することで、数分で連携を実現することができる
  • ドラックアンドドロップによる感覚的なワークフロー構築ができる

テンプレートを使った設定により、圧倒的な短期間で連携を実装することができるため、単純な作業や業務においては十分な効果が期待できると言えます。
世界シェアNo.1ということもあり、対応アプリの幅広さは業界トップです。

SaaSを管理するためのツール(一般企業向け)

前述した3つのサービス分類とは少し異なりますが、SaaSの普及が急速に進むとともにニーズが高まってきたのが、”SaaSを管理するため”のSaaSです。

SaaSの特性上、一般企業では複数のSaaSを同時利用することになり、それにともなって課題も浮き彫りになりました。
具体的には「誰がどのツールのアカウントを持っているかがわからない」、「ツールごとの利用状況やコストが見えづらい」などがあります。
こういった課題を解決するためのサービスも、SaaS for SaaSの1つとして注目されているのです。

製品例

■ジョーシス

ジョーシス公式

▽画像出典元:「ジョーシス」公式HP

ジョーシスは、ITデバイスやSaaSのアカウント管理といった”情報システム部門”の課題解決に特化した、統合管理サービスです。
業務効率化はもちろんのこと、セキュリティ強化も実現が可能です。特徴は次のとおりとなります。

  • PCだけでなくスマホやUSB、モニターなども利用者に紐づけて一元管理することができる
  • 入退社の定型業務も自動化し、アカウント発行・削除が1クリックでできるようになる
  • キッティングから各台帳の更新など業務のアウトソーシングも対応可能

情報システム部門の業務に特化したシステムは国内でも珍しく、非常に注目されているツールです。
業務の一元管理ができるだけでなく、アウトソーシングにも対応しているという点は大きな差別化ポイントと言えるでしょう。

■Bundle

bundle公式

▽画像出典元:「Bundle」公式HP

Bundleは、情報システム部門向けの作業自動化ツールです。
SaaSにおける、アカウント開設作業、アカウント見直しの棚卸し作業を自動化します。特徴は次のとおりとなります。

  • 現時点で190以上の幅広い製品に対応している ※2024年5月現在
  • ユーザ数課金となり初期費用はかからないため、コスト負担が少ない
  • Bundle APIを公開しており、さまざまなアクションに関して他システムと連携が可能

2023年4月にfreeeグループに参画したことにより、freeeシリーズとの連携はもちろんのこと、幅広い製品との連携が期待できるツールです。

これからのSaaS for SaaS

ここまで、SaaS for SaaSとして提供されているツールをいくつか紹介してきました。

ストラテジットでは、国内のSaaS for SaaS市場ではまだあまり着目されていない、新たなSaaS for SaaSの提供を目指し、製品組み込み型であるEmbedded iPaaS『JOINT iPaaS for SaaS』をリリースしています。

JOINT iPaaS for SaaS バナー

『JOINT iPaaS for SaaS』は、従来のiPaaSとしての導入効果はもちろんのこと、新たなSaaS for SaaSとして次のような特徴を持っています。

国内初!自社SaaS専用のアプリストア構築

「他SaaSとの連携オプションを実装したけれど、なかなか売れない・・・」といった課題を解決するため、『JOINT iPaaS for SaaS』には”自社SaaS専用のアプリストア構築機能”を備えています。これは従来の国内iPaaSでは対応していなかった機能となり、国内で初めて実現したものとなります。

また、自社SaaSへの組み込みも可能なため、エンドユーザもストレスなく利用することが可能です。

ストラテジットでは連携機能を作って終わりではなく、どのような戦略で売っていくのか、といった販売計画を立てるフェーズまで伴走します。

各社のAPIに応じた連携コネクター構築

iPaaSなどのツールを導入し、いざ連携設定を行おうとした際によくぶつかる問題が、「本当にやりたいことが実現できない」というものです。なぜこのようなことが起きるかというと、対応できる連携先として掲げられていても、その製品におけるすべてのAPIに対するコネクターがあるとは限らないためです。

『JOINT iPaaS for SaaS』では、1つの製品に対してコネクターを構築するのではなく、その製品が持つAPI1つ1つに対してコネクターを構築するため、SaaSベンダー側における簡易的な設定で、非常に柔軟な連携設定が可能となっています。

※コネクターとは
iPaaSを使用してデータ連携を行う際に連携先のAPIと繋がるための口のことで、このコネクター数が多ければ多いほど、柔軟かつ多様なデータ連携が可能となります。

また、JOINTならオンプレや国産SaaSとの連携も可能です。
今まで有名な海外のiPaaSを使っていたけど結局使えなかった、というお悩みにもすべて対応しています。

自社SaaSのAPI開発機能

他製品との連携において必要不可欠となるのが、APIの開発です。

従来、APIの開発は自社のリソースで行うことがマストとなっておりましたが、自社製品の基本機能のバージョンアップやエンハンスにより手一杯となり、なかなか手が付けられないといったSaaSベンダーは少なくないのではないでしょうか。

JOINTプラットフォームでは、そんな自社SaaSのAPI開発を不要にし、ドキュメントを含めた標準APIを提供することを目指しています。
本機能は今後実装予定となりますので、ぜひご期待ください。

 

本記事では、SaaS for SaaSを取り巻く環境やその変化、具体的な製品例について紹介を行ってきました。
SaaSが当たり前になった現代だからこそ、このような市場が生まれ、次々と新たな製品が誕生しています。

2020年から急速に成長しているSaaS市場の後を追うように、SaaS for SaaS市場も今後さらなる成長が期待できますね。

SaaSやSaaS for SaaSのツールを上手く活用して、企業のさらなる成長を目指していきましょう。

 

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この記事を書いた人

株式会社ストラテジット